コラム

 公開日: 2012-09-11 

謎がいっぱい?! 東洋医学 ≪お灸(やいと)のお話≫・・・その7

『お灸(やいと)』治療は、昔から、家庭内でも盛んに、また日常的に行われていました。
江戸時代には、“足三里”・“三陰交”というツボには、嫁入りの準備として、多くの女性がお灸をすえていたといわれています。
ところが最近では、間接灸(せんねん灸等)の温灸等は、多くの方がすえているのですが、有痕灸(直接皮膚にすえる)においては、あまり用いられていないのが現状です。
温灸等も、効果がないわけではありませんが、やはり治療効果においては、有痕灸がベストでしょう。
しかし、現実的には、有痕灸は嫌われます。理由は、熱いからです。一般的に、現代人は我慢強くありませんし、痕(あと)になります。また、熱いのを我慢できて、痕になるのを気にしない人でも、お灸を自分で上手にすえられない、またすえてくれる人もいないということも、大きな要因でしょう。
灸治療は、エ夫をすればそれほど熱くなく、灸痕もそれほど目立たなくできるものであり、灸治療が効果的である病気や症状は、数多くあります。

そこで、今回のポイントとして、なるべく熱くなく、なるべく痕の残らない灸の施術方法についてお話したいと思います。

●“もぐさ”
なるべく上質の、乾燥しているものを使います。購入してから日にちが経ったものは湿気を含んでおり、燃焼温度が上がり、熱くなりすぎます。家庭に、古く湿気を含んだ“もぐさ”しかない場合は、お菓子等に入っている乾燥剤を入れておくか、電子レンジで少々チンすると回復します。

●“もぐさ”の大きさ
糸状灸(木綿糸くらい)や、ゴマ灸(ゴマ粒大)がベストです。大きくても半米粒大(米粒の半分)までです。この大きさなら熱さにも耐えやすいし、灸痕も最小限に抑えることができます。ホクロが一つ増えた程度の灸痕です。

●“もぐさ”のひねり方のコツ
もぐさのひねり方は大変重要です。右利きの人ならば、左手で少量(あずき粒大くらい)をつまみ、かるくフワフワと“こより”を作る感じでひねります。できれば、木綿糸やタコ糸状にのばせたらベストです。なかなか上手くひねることができない方は、コルク板を2枚使うと簡単にできます。ホームセンターや、百円均一のお店で売られているコルクのコースター等を利用し、2枚のコルク板の間に少量のもぐさを置き、軽くこすり合わせると、上手に伸ばすことができます。
ひねり方が強すぎると、点火後になかなか火が消えず、燃焼温度が上がり、熱すぎて耐えられなくなります。お灸は、パッと火が点いて、パッと火が消えるすえ方が良いとされています。
その時の皮膚の温度が、60℃位になるのが一番良いとの研究結果が出ています。例えば、お茶を湯呑みに注ぐ際、手に飛び散った時の熱さぐらいでしょう。

●“もぐさ”を皮膚に置く際のコツ
灸点に、水かプロピルアルコールを少し付けるとくっつきやすいです。(エチルアルコールは、すぐに蒸発するので不向き)コットンに、水かプロピルアルコール染み込ませて用意しておき、小指を使って皮膚につけると容易にできます。

●“もぐさ”に点火する際のコツ
点火する際に使用する線香についてですが、道後温泉等で売られているような、太いお灸専用の線香は、施術者(専門家)向きで、一般の方には使いづらいと思います。なぜなら、火を点けた線香が皮膚に近づいただけで、副射熱で耐えられなくなることがあるからです。家庭で施術するときは、仏壇用の細い線香が使いやすいようです。

それから線香の火の先端で点けると、線香にもぐさがくっ付いてくることがよくあります。そこで、火の根元(火の点いているところと点いていないところの境界)で点けると、上手く点火できることが多いです。更に、もぐさに火を点ける瞬間に、少し回転を加えるとくっ付きにくいと思います。


●“もぐさ”の火が消えにくいとき
もぐさをかたくひねりすぎていたり、湿っている等で、なかなか火が消えない場合は、爪の背で押さえて消すのが効果的です。要するに、パッと点いてパッと消える、パルス的な刺激が良いようです。

●お灸の熱さを緩和させるコツ
点火後、竹筒や鉛筆のキャップ等をかぶせたり、ツボの両脇を爪で強く抑える方法もありますので、是非試してみてください。

皮膚は、毎日新陳代謝しています。それに伴い、灸点も必ず動きます。最低でも、月に1回は修正するようにしましょう。

灸をすえて、3~4日目には、黒く焦げ痕ができ、灸はほとんど熱くなく、気持ちよい温感でできるようになりますから、後は楽に治療ができるでしょう。
しかし、ここで注意しなければいけないことは、3~4日すえていると、熱く感じなくなったことで灸が効かなくなったと勘違いし、刺激が足りないと感じ、多くの方が、大きなお灸をすえるようになるのですが、それは間違いです。最後まで同じ大きさ(同じ刺激)の灸をすえるようにすることが大事であり、正しいすえ方なのです。
もぐさが大きくなると、当然温度が上がりすぎて、灸痕も醜くなり、なかには化膿してくる人もいます。特に、糖尿病の患者さんは要注意です。たとえ熱くなくても、穴にはしっかり熱刺激が伝わっているので大丈夫です。

お灸の効用については、一般的に、慢性症に用いられることが多いと思われておりますが、急性症にも著効を示す場合が多くあります。
例えば、逆子の治療に、足の小指の爪の外側にある“至陰”というツボを使いますが、大変高い確率で改善します。過去の学会での発表や、私自身の経験からも、自信を持ってお奨めできるツボです。ただ、稀に、へその緒が首に巻きついていて、うまくいかなかった場合もありますが。
治療方法としては、“至陰”というツボに、5~9壮ゴマ粒大の灸をすえるだけです。専門家における実際の治療は、その他の、身体各部の色々な穴にも補助的に鍼をしたり、温灸をしたりしますが、家庭ですえる場合は、“至陰”の穴が一番のポイントとなります。
治療効果については、早い例では、一回の治療で少し胎児が動き、その後、医師や助産婦さんが手で動かして正常置に戻った例もあります。多くは、一週間以内には効果が出ているようです。(その間は毎日施術するほうが良いです)
効果が出なかった場合の理由としては、前述した、へその緒の問題や、胎児が大きくなりすぎている等、その他の原因も考えられるようです。

最後に、灸治療が苦手な方もいらっしゃると思います。
千年灸等でも、ある程度は効果が期待できますので、ぜひお試しください。治療院では普通の灸をしているが、家庭では千年灸等で代用しているという方も多くみられます。

この記事を書いたプロ

おざき鍼灸

あん摩マッサージ指圧師 尾崎敏浩

愛媛県松山市祝谷町1丁目5-4-601 (*事務所での施術は行っていません) [地図]
TEL:089-921-2983

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