コラム

 公開日: 2011-04-23  最終更新日: 2014-06-28

調停か訴訟か、その選択基準

おはようございます。松山市の弁護士森本明宏です。


「調停」という手続きをご存知でしょうか?


民事事件を解決するための裁判所における手続きは、大きく分けると、「訴訟」と「調停」の2つになります。


「訴訟」は、裁判手続きです。

「調停」は、話し合いによる解決を図る手続きです。



訴訟と調停のいずれを選択するかの基準ですが、


1 管轄の問題


  調停手続きを取る場合の申立てを行う裁判所は、相手方が居住する住所地を管轄する簡易裁判所となります。

  したがって、相手方が県外その他遠くに居住している場合には、毎回、相手方住所地の簡易裁判所に出向く負担を考えます。

  遠方の裁判所に出向くことは負担ですから、この場合、調停は避けることが多いです。

  一方、訴訟手続きの場合、管轄は、被告(相手方)住所地を管轄する裁判所のほかに、事案の内容によって、原告(当方)の住所地の裁判所を管轄として取ることができる場合があります。

  相手方が遠方に住む場合は、自分の住所地の裁判所に訴訟を起こすメリットは大きいといえます(逆に、相手方にとっては出廷の関係で負担となる)。



2 解決までに要する時間


  調停の手続きを取ることを考える案件は、相手方が当方の請求を一切拒絶するのではなく、少なくとも相手方が話し合いの土台に乗ることが期待でき、話し合いによる解決が見込まれる事案です。

  経験上、調停になじむ事案であれば、最終的な解決に至る時間は、訴訟よりも調停の方が短い(早く解決する)ことが多いと感じています。

  訴訟は、本来的には白黒をはっきりさせるための手続きであり、事実認定のための証拠の取調べも厳格となりますから、その分、否応なしに時間がかかります。

  最初から、一切話し合いができないことが明らかであれば、調停を起こすだけ無駄ですから、訴訟を考えます。



3 請求内容の理屈立ての難易、証拠の多寡


  訴訟は、裁判手続きであり、最終的には、裁判所が証拠を基に事実関係をはっきりさせ、判決を出すことになります(ただし、訴訟であっても、「和解」といって当事者が話し合いで解決することもあります)。

  実は、訴訟では、ある請求権が成り立つためには、主張すべき事実、証明すべき事実があらかじめ決まっています。

  弁護士が事案を検討した場合に、請求権が成り立つための事実を見出すことが困難だったり、証拠が不足しているには、訴訟は避け、調停を申し立てることが多かったりします。


  調停は、話し合いによる解決を図る手続きであり、厳密に証拠関係に基づいて結論を導く訴訟と異なり、事案に即した柔軟な解決を図りやすいというメリットがあります。

  和解狙いで訴訟を起こす場合もまれにありますが、これは証拠が不足していると相手方が和解を拒否した場合に、請求が認められないという判決を受けるというリスクがあります。

  

 以上のとおり、弁護士が「訴訟」を選択するのか「調停」を選択するのか、その判断は、依頼者の解決までに要する時間の希望、証拠の過不足、請求権の理屈立ての難易、相手方の住所地などなどを総合的に考慮し、また、調停で解決ができそうな事案か、裁判をせざるを得ない事案かを経験に照らし合わせて判断し、決めていることなのです。

この記事を書いたプロ

四季法律事務所 [ホームページ]

弁護士 森本明宏

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