コラム

 公開日: 2014-01-11 

刑事裁判の進み方

こんにちは。弁護士の森本明宏です。

今日は、刑事裁判の手続(公判手続)の流れについてのお話です。
刑事裁判は、概ね、以下の流れで進みます。

************************************

身柄を拘束されている被告人は、手錠、腰縄をつけられた状態で、法廷に入ります。
その後、手錠を開錠され、腰縄を解かれます。

被告人が着席する場所は、弁護人の前です。
その後、被告人は証言席の前に立ちます。

ここから、公判手続きが始まります。


1 まず、裁判官から、本籍、住所、氏名、職業等を聞かれます。
  これは「人定質問」と呼ばれる手続きです。

2 次に、検察官(検事)が、起訴状を読み上げます。

 起訴状には、検察官が処罰を求める犯罪の事実関係(公訴事実)とその事実がどの法律のどの犯罪にあたるか(罪名及び罰条)が記載されています。

  検察官が、この起訴状を読み上げる手続を「起訴状朗読」といいます。

3 裁判官は、被告人に対し「言いたくないことは言わなくてもかまいませんが、この法廷でしゃべったことは有利不利を問わず、裁判の証拠となります」ということを告げます。これを「黙秘権の告知」と呼びます。

4 そのうえで、裁判官が、被告人に対し、「さきほど検察官が読み上げた起訴状の内容に何か間違いはありますか」と確認します。

  被告人は、あらかじめ弁護人と打ち合わせた方針に従い、「間違いありません」と答えたり、逆に「間違っています」と答えることもあります。

  この手続きを「罪状認否」といいます。

  起訴状に書かれた公訴事実を認める事件は「自白事件」と呼ばれ、認めない事件は「否認事件」と呼ばれます。

5 裁判官は、弁護人にも意見を聞きます。

  弁護人は、被告人と打ち合わせた方針に従い、被告人と同様の意見を述べます。

6 次に、検察官が、被告人の身上経歴や前科前歴関係の有無、事件の概要などにつき述べます。

  これを「冒頭陳述」といいます。

7 続いて、検察官は、起訴した事件について、こういった証拠があるから、この裁判で証拠として使ってください、という請求をします。

  これを「証拠の取り調べ請求」といいます。

  刑事裁判で検察官が提出する証拠は、犯行現場の状況を確認した「実況見分調書」と言われるものや、犯行に使われた凶器とか、被害者の供述調書、被告人の言い分を聞き取った供述調書などです。

8 裁判官は、検察官から請求のあった証拠について、裁判で証拠として採用してよいかどうかについて、弁護人に意見を聞きます。

  弁護人は、公判期日前に、検察官から、どのような証拠を出すのか事前に開示を受け、あらかじめ内容をチェックしています。

  特に問題がなさそうであれば、弁護人は、証拠として使ってもらってもかまわない、という意見を述べます。

  中には、この証拠の取り調べ請求には同意しない、という対応をせざるを得ない証拠がある場合もあります。

9 検察官は、弁護人が証拠の取り調べ請求に同意をした証拠の内容を説明します。

10 その後、裁判官は、弁護人に対しても、弁護人が提出予定の証拠はありますか、と確認をします。
   弁護人は、示談ができた場合の示談書、被害弁償をした場合の領収書などを証拠として申請します。
   また、被告人の親族を証人として申請したりします。

   自白している事件では、被告人の親族に、今後の被告人の指導や監督を誓約する証言をしてもらうことが多いです。このような証人を「情状証人」と言います。

   弁護人が申請した証拠について、検察官が採用に同意するかどうか意見を述べます。

11 証人が採用された場合には、証人に証言を求める手続に移ります。いわゆる「証人尋問」の手続きです。

   証人は、尋問に入る前に、「良心に従って真実を述べ、何事も隠さず偽りを述べないことを誓います」と宣誓します。

   それにもかかわらず、嘘を述べた場合は、「偽証罪」で処罰される場合があります。

12 証人尋問が終わった後、被告人本人から、事件に関して質問をする手続きに移ります。

  自白している事件であれば、なぜそのような犯行に至ったのか、動機や経緯などを聞いていきます。

  これを「被告人質問」と呼びます。

  弁護人は、被告人から有利な事情を引き出すことを目的にいろいろ質問します。

  弁護人の質問が終わったら、検察官から反対に質問がされます。

  検察官が質問する内容はおおよそ予測できますので、公判前の被告人との打ち合わせでは、検察官からの予想される質問に対していかに回答するか、といったことも考えることになります。

13 被告人質問が終わった後、検察官が、被告人に対して、いかなる理由で、いかなる処罰が相当であるか、例えば、犯行動機が悪質で、その他これこれの理由があるから、被告人を懲役○年とするのが相当だ、といった意見を述べます。

  これを「論告求刑」といいます。

14 この後、弁護人が、被告人にとって下す判決は、こういう内容が相当だということを述べます。

  弁護人の「最終弁論」といいます。

  自白しており、自白を裏付ける証拠も十分な事案では、執行猶予を求めることになります。

  実刑やむなしと思われる事案では、できるだけ短い刑期を求めることになります。

15 裁判官が判決の言い渡し期日を定めます。

   通常の事案であれば、概ね2週間先に判決が言い渡されます。

16 定められた判決言い渡し期日に、判決公判手続が開かれ、被告人、弁護人、検察官が立ち会いのもと、裁判官から判決が言い渡されます。

以上が、一般的な事案での刑事裁判手続きの流れとなります。

一度、刑事裁判の傍聴に行ってみるのも、いろいろ感じることがあったりして、よいかもしれませんね。



この記事を書いたプロ

四季法律事務所 [ホームページ]

弁護士 森本明宏

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TEL:089-933-0119

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