コラム

 公開日: 2010-08-31 

経営改善計画書 / 再生計画書  / 現場での実務


中小企業等金融円滑化法はどうなるのか?

現状では来年の3月で終わりなる様子。
その後はどうなるのか?

新政府が経済状況を見たうえで年内に決定をするであろう。
モラトリアム終了後は以前のようにリスケという交渉が復活するのか?
銀行サイドも様子見というのが現状であろう。

経営改善計画書や再生計画書を書いていて思うのだが、
売り上げ増の計画書というのは銀行さんに対して説得力がない。
銀行サイドの思考回路では、売り上げ増=ウソ(できもしないこと)のようになるのであろう。

経費の削減、利益率の向上、資産の売却、こんなことを望まれる。
計画書の提出後には達成率を要求する銀行さんもある。
それを計画書に明記するようにと求められたりもする。

銀行出身で銀行の多い経営コンサルタント事務所などは、
銀行に気に入られたいためにすすんでクライアントに達成を書面で約束をさせようなどとする。
誰からお金をいただいているのか? 誰のために仕事をするのか?

経営コンサルタントの立つ位置は難しい。
銀行交渉では特に難しいと思う。
クライアントの要望を聞いたうえで、銀行の立場も理解をして、行動しなければならない。

銀行の下請けのような経営コンサルタント会社では・・・
銀行側に7か8のウエイトを置いている。
銀行がどう取るか? 納得してもらえるか? 銀行に良い評価をいただけるか?
これでは良い仕事はできないであろう。

以前に先輩コンサルタントが言っていた。
クライアント側に6、銀行の立場に4、これくらいがうまく流れる割合だと・・・
たぶん、そうなんだろうと思う。

私は、クライアント側で7か8であろう。
だから、銀行交渉や計画書に何回も何回もも必要になる。
下から下から企業負担を最小限に考えて、銀行の顔色や態度を見て、計画書を再提出する。
面倒ではあるが、クライアント側で考えればこういう戦術になる。
銀行の要望や限界線を見極めながらの交渉ということになる。

計画書が受け取られ、リスケが開始され、再生計画がスタートとなる。
しばらく経ってくると出てくるのが資産の売却話である。

「固定資産の売却をして返済にあてましょう。」
「売却損が出ても、銀行も了解をしていますから・・・」
「決算書で繰越欠損が出ても、銀行は了解をしていますから・・・」
「売却によって、たとえ1円でも借り入れが減少した方が、きっと会社のためですよ。」

はたしてそうだろうか?
以前に、大御所の経営コンサルタントの先生が言っていた。
銀行の言うとおりにすると会社は傾いていきますよ、生き残りたいなら銀行に言われた逆の行動をしなさい。
現場の実務経験が多い人は同様な発言をすることが多い。

資産売却をしたらどうなるのか?
2~3年後には、一段と悪い決算書になっているであろう。

売却をすると、売却損が発生する。
決算書から固定資産が減少していく。
純資産が減少したりマイナスになってしまう。
俗に言う完全な債務超過企業が確定をしてしまう。

当然、売り上げや利益のPLが改善されても融資は受けれない。
メインもサブも政府系も融資は受けれない決算書がクリアに確定をしてしまう。

銀行が見方を変えないから、資産売却を・・・
それは今の営業店の支店長や行員が見方を変えないと言っているだけである。
本店審査部や2年後の支店長の見方は、やっぱり債務超過の会社である。

現場で起こることで現実の話である。
再生現場の数が少ない銀行の行員出身者のアドバイスは銀行と同じことを言っていたりする。
銀行でも、経営支援部や再生部で実務を何年もこなし、何年も同じ会社に行っていると、
固定資産売却がなかなか再生実務の解決策でないことが理解ができるようになる。

銀行の指導で固定資産売却をすすめられて、2~3年後に債務超過、
約束したはずの今まで通りの支援は本店審査部と新支店長により却下。
現場ではこんな事例は山ほどある。

経営コンサルタントとして、資産売却の相談を受けた時には、
慎重に対応を考えるようにしている。
棚卸資産、在庫、などの売却による痛みとは意味が違ってくる。

固定資産の売却には細心の注意が必要である。
経費の削減、人員削減、不採算部門の縮小や閉鎖、これにも細心の注意が必要である。

現場を知らない銀行員や経営コンサルタントはすぐに言う。
縮小だ、閉鎖だ、そうすれば赤字が出なくなる。

会社は人間の体と同じである。
大きさに見合った血(お金)が流れなければ動けなくて倒れてしまう。
悪い血(赤字)でも流れていなければならない時期もあるのである。

まずは資金繰りと資金コントロール。
それから再生計画を考えていかなければならない。
立派で完璧な計画書でも、来月会社が倒産の危機を迎えるのでは意味がない。

そんなのは・・・
重体の患者が大量出血しているのに、なにもしないで、まずは検査、
そんなことを言っている医者と同じである。

本やセミナーの話とは違う。
現場では現場の実務対応能力が求められる。

現場では100社100通りの事例が発生する。
再生には現場での実務の経験が教科書になっていく。
机上の空論(事務所で話を聞いても・・・)では、根本的な問題の解決にはなっていかない。

再生実務家としての雑感でした。

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経営コンサルタント 網師本大地

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